タイプフェイスをこえて

無人島に1つだけフォントを持っていくとしたら、迷わずヘルベチカです。 おそらく世界のデザイナーさん全般に言えることですが、一番お世話になっているフォントではないでしょうか。 大文字の「R」が…小文字の「a」が…みたいに言われることもしばしばですが、そこも含め愛おしいものです。
コマーシャル・グロテスクをコンデンスとして吸収したり、ノイエといった親戚もだいぶ増えました。現在もなおデジタル時代に順応すべく、普遍的でありながら絶妙に進化し続ける、世界最高のフォントであると思います。

数年前MoMAでもフォントの歴史に触れてきました

歴史を紐解いていくと、ベースとなっている「Neue Haas Grotesk」の功績はとても大きく、美しい。上記の「R」や「a」も元来セクシィだったのがよくわかります。

業界に入って間もない頃は、サンセリフ系でもいわゆるFuturaあたりの「くせ」を好みがちなところがあります。しかし経験を積むことでか、だんだんデザイン性が強すぎると感じるようになり、結局安心するところに戻ってきてしまうように思います。ただ、我々がローマ字を使うとき、それはほとんどの場合ヘディングやロゴタイプといった、短く限定的なシーンとなります。よって、特徴のあるフォントに流れやすい傾向は、欧米人と比べると強いのかもしれません。もし「文章」をローマ字で組み、読むという習慣があれば、ヘルベチカの読みやすさをもっと実感できることでしょう。

この本は2007年、ヘルベチカ生誕50周年を機に(発刊は2009年?)記された歴史書みたいなものですが、たしか日本語版は2,000冊ほどの限定だったと思います。先日から入り浸っている図書館で出会い、ようやく読むことができました。

そして卒業(は、しませんが…)

弊社のロゴタイプは長年HelveticaのCondensedをベースに少し手を入れたモノを使用してきましたが、今季の、令和の再始動に際し、ロゴタイプを一新しました。

ヘルベチカ愛を語っておきながら、結果「変えました」というオチとなってしまいました…しかしながら、いつかこの仕事から離れる時がきたとしても、ヘルベチカから卒業することはないでしょう。きっと明日もまたお世話になります。